INTERVIEW 02 / AIと、経営。
「AIがなくなったら、
正直、もう会社を
経営できません。」
自分の会社でAIを使い、失敗し、また考え直す。経営者自身の試行錯誤から見えてきた、AIと働くということ。

01人とAIが、
一緒に仕事を進める。
自分の会社にAIを組み込み、役割を分けながら仕事を進めてきた沓名。AIを会社に入れて、何が変わったのか。
過去のインタビューで返ってきたのは、単なる作業の速さとは違う答えだった。
02自分の説明不足を、
補ってくれる。
— AIを会社に入れて、一番変わったことは何ですか?
コミュニケーションですね。言った・言ってないとか、伝達漏れとか、連携ミスとか。もちろんそういうものもAIが助けてくれるんですけど、それはある意味、期待していた通りなんです。
僕にとってもっと大きかったのは、僕自身の説明不足をAIが補ってくれるようになったことです。
僕、人に説明するときに、いきなり「10」を言っちゃうんですよ。
03「自分より優秀な人が
必要だった」
— 優秀な右腕を雇えば、同じことができたのでは?
もしかしたら。でも、相手に意思があって、優秀な人ほど、僕とはぶつかっていたような気がします。
僕より飛び抜けて優秀で、僕が言っていないことまで汲み取って整理してくれる人がいれば、うまくいったのかもしれない、でも……
そんな人、僕の会社に来る理由がないですよね(笑)。
04AIに、
自分の味方をさせない。
AIに「会社にとってどうなのか」という視点を持たせる。沓名は、過去のインタビューでそんな使い方を話している。
— AIが社長の考えを正当化するだけにはなりませんか?
社員を説得することもあるし、僕を説得することもある。
「こういうデメリットがあります」「こういうリスクがあります」という材料を出してくれる。
それを見て、最後は僕が決めます。
05人間がゴールを決める。
AIが地図を描く。
— では、人間に残る仕事は何でしょう?
まずゴール設定だと思います。「こうしたい」という理想を置くのは、人間です。
現在地とゴールを渡したら、AIはいろんな地図を出してくれる。右から行く方法。左から行く方法。早い方法。安全な方法。
ただ、最初から完璧な地図なんてできないんですよ。進んでみたら工事中だったり、実は行き止まりだったりする。だから進みながら、またAIと地図を書き直す。
06「あ、これ
沼り始めたな。」
いいものができるときは、不思議なくらい速い。逆に、うまくいかないときには兆候がある。
「いや、そういう意味じゃなくて」「そこ、さっき説明したよね」
説明し直す回数が増える。手が止まる。思考速度が落ちる。テンションが落ちる。
沓名はそれを「沼る」と呼んでいる。
07AIがなくなったら?
— もし明日、AIが全部使えなくなったら、今の会社を経営できますか?
無理ですね。はっきり言って、大絶望です。
そこまで必要だという理由は、仕事の速さだけではない。整理や管理が苦手な自分を、仕組みで支えようとしてきた。
08「僕、自分の怠惰を
直してないんですよ」
僕、整理とか管理が本当に苦手なんです。「あれ何だったっけ」って思い出すのも嫌い。それだけでやる気がなくなる。
「後でやろう」と思った仕事も、放置するつもりなんてないのに、別のことをやっているうちに忘れる。
だから自分を直そうとしたというより、自分の弱点から全力で逃げようとしたんです。
09言葉から物を作る。
そして、痛い目にもあう。
「新メニュー開発機〜!」みたいに頼むと、とりあえず出してくれる。ただし最初からタケコプターが出てくるわけじゃない。
まだ飛ばない、グチャグチャのタケコプターが出てくる(笑)。
一方、夢中で作った請求書の仕組みに、無料の類似サービスがあると後から気づいたこともある。
「AIが作れることと、作る価値があることは別なんですよね。」
10AIは、
あなたの会社を知らない。
会社が何を大切にしているのか。どんなお客さんがいるのか。現場で何が起きているのか。なぜ、その判断をしたのか。
こうした会社ごとの事情を、仕事をしながらAIが扱える形にしていく。沓名はそれを「企業知能」と呼ぶ。
AIがどれだけ進化しても、御社のことは勝手には分からない。
「ちょっと仕事戻ります。」
過去の取材の終盤、会社のこれからを話していた沓名が、ふと止まった。
「……あれ?」「これ、作り方間違えたかも。」「もっと普通に、管理するところだけ作ればよかったんじゃない?」
進みながら考え直す。取材で話していたことを、自分でも繰り返していた。そうして沓名は、AIとの仕事に戻っていった。
まずは、お店や仕事の話から。
何に時間がかかっているか。誰が困っているか。何ができるようになったら楽になるか。そこから一緒に考えます。
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