
翔平のAI実践録
「本当に外付けの神経だわな。自分で動かしながら覚えていく」。翔平がAIのことを話すとき、よく料理にたとえる。作り方を全部覚える前でも、目の前に一皿あれば味見できる。もう少し塩が欲しいのか、この味で出したいのかは、自分で決められる。AIと作った仕事にも、その一口目がある。
ここには、うまくいった仕事と、実物を見てやり直した仕事を並べた。発言の引用を除き、当時の記録と後日のインタビューをもとに編集した。やり方も含めて無料で自分のAIに渡せる。
沓名翔平の寄稿「AIとは人工知能ではなく人工神経である。」を読む

何を見て、どう決めたか
01ChatGPTに会社のことを話し始めた
初めて触れたのは2024年1月ごろ、と翔平は2026年11月1日に振り返った。本格的に使い込んだのは2025年春。会社が何を大切にしているかを話し、新しい商売を一緒に考えた。頼み方を変えるたび、返ってくる答えも変わった。ただ、画面を閉じても、会社の資料は片づいていなかった。実行してくれる人を、そこから半年ほど探した。
試すなら 昨日AIの答えが少しずれた仕事を一つ思い出す。自分には当たり前すぎて言わなかった事情を一つ足し、答えのどこが変わるか見てみる。
02「おはよう」で予定が出る。あれが欲しかった
PIVOTの動画で、朝、ひとこと声をかけると、今日の予定と昨日のやり残しが出てくる場面を見た。「僕はその瞬間、『これが欲しい』と思いました」。2026年7月のセミナー台本で語った転機だ。動画を見た日は分かっていない。
翔平はClaude Codeを使ってAI秘書「ドラミ」を作った。パソコンの資料を読める、予定やメールを確かめられる。自分のことを知るAIに、この仕事で使ってよい道具を渡したことを、翔平は「体」を与えたと表現する。やがて、次の道具は「つないどいて」と頼めるようになった。
試すなら 朝いちばんに思い出すのが面倒な仕事を一つ選ぶ。その答えがどこにあるか、自分のAIが実際にそこを読めるかを確かめる。
03仕事の渡し方に、三つの名前を付けた
2026年4月27日の記録には、すでにchosei、mitei、mitei2という名前が並ぶ。頼みたいことの不足を整理するのがchosei。相手が自分のAIと進められる形で渡すのがmitei。相手側のClaude Codeに実行させる形がmitei2だった。命名した日は不明。
8月31日に三つの意図をmiteiへまとめ直した。今の手順では、相手が受け取ったあと、できた実物を取り直して依頼と合っているかを見る。10月には、別のAIに頼む仕事はその仕事専用の会話へ渡す範囲も明確にした。現行のmiteiで最初から最後まで通した実証は、11月1日時点で記録にない。
試すなら 同僚へ頼む仕事に「できたら何を返してほしいか」を一行添える。実物が返ったら、次回は省ける説明を一つ探す。
04AIの検品では合格。店の顔になる三案は全部ボツ
2026年7月13日、お店のホームページを開いたときに最初に見える部分を三案作った。制作側のAIは自分たちで検品し、合格を出した。翔平が見た結果は、三案とも不採用だった。お客さんに見せる前の制作中の出来事だ。
そこで順番を変えた。ページを組んでから最後に良し悪しを問うと、違ったときに三案とも作り直す。まず主役にする写真や絵を見て選び、それに合わせてページを組むことにした。
試すなら 作り込みに入る前に、自分がいちばん先に味見したい部分を頼む。お店のページなら、最初に何を見たら食べに行きたくなるか、自分の目で選ぶ。
05二つのAIの間で、コピー係をしていた頃
2026年7月18日、翔平は、お客さんに自社の仕事を見てもらう準備をしていた。何をどんな順番で見せれば伝わるか。翔平とChatGPTで考えた台本は採用になった。ところが、その台本で肝心の「実際に何を見せるか」が決まったわけではなかった。ChatGPTからは、社内にどんな記録があるか見えなかったからだ。
そこで翔平が台本をコピーして、社内資料を見られるAI秘書のドラミへ運んだ。見本にしようとした案件の一つには、見せたい仕事の履歴があまり残っていなかった。ドラミが記録を確かめ、別の案件を勧めた。台本は生かして、見せる実物を替えた。二つのAIを使った中で、両方のやりとりを知り、案を運んでいたのは翔平だった。
8月12日には、別の仕事でこの受け渡しを試せた。ここでは親役のAIからClaude Codeを呼び出せるようにした。親役が文書を一つ作るように頼み、戻ってきたファイルを開いて、頼んだ箇所だけが変わったか確かめた。7月は翔平がコピーしていたものを、ここではAI同士で渡せた。
11月1日、この実践録の企画を考えるとき、翔平は別の頼み方を口にした。「君の意図はCCに伝えないで」。CCはClaude Codeのこと。今回は二つの異なる案を見たかったから、お題は渡し、片方が推す答えは伏せた。7月のデモでは、台本を渡したことで、それに合う実物を選べた。何を渡すかは、二つ目のAIに何をしてほしいかで変わった。
試すなら 文章を考える人と事実を確かめる人の間を、自分が往復した仕事を一つ選ぶ。次は何を一度だけ運べば済むか、結果は誰が見るかを決めて試す。
06「円卓」。二つのAIが一致した部分も捨てた
8月2日には、複数のAIの意見を持ち寄る「円卓」の結果が残っている。8月11日に互いの弱点を突く形に進み、8月19日には互いの案を伏せて考えた記録もある。9月2日版の手順には、案を出す前にそもそもの目的や前提が合っているかを確かめる役もある。
9月1日には、準備なしでその場で相談を受けたい、という翔平の考えが、話し合いを経るうちに事前の診断や決まった成果物を用意する案に変わってしまった。翔平はこの案を採用しなかった。
9月22日の別の案件で、二つの案がそろって、返事が来なければ7日で閉じるよう勧めた。以前、それで拾えなくなった仕事があった。最終案では、その部分を両方とも退け、返事のない項目は別の場所へ残した。10月5日、翔平は組み直した案を採用した。採用が確認できたのは、この仕事での判断だ。
試すなら 二人が同じ結論を出した部分についても、自分の過去の仕事で一度でも困った例がないか見返す。
07「名前は絵で」。今いる場所をもう一度見たい
8月4日、仕事の見取り図を見た翔平が「OK。進むたびに出しなおして。これをスキル化して。絵で」と頼んだ。気に入ったのは、一度眺めて終わる絵より、仕事が進むたびに同じ場所を見れば変化が分かることだった。
9月13日には「絵にしてっていったらこの3種類の形を出して」と頼んだ。同じ仕事を、順番、人や道具のつながり、修正前後の三つから見られる。今も進捗を見たいときは「絵で」と頼める。
試すなら 今の仕事で、自分が決めることが一つ見つかる図を頼む。翌日、同じ配置で見て、何が変わったか確かめる。
0810時間のつもりが、取材の時点で40時間を超えていた
8月11日のインタビュー原稿によると、自社のAI環境を直すつもりが、大改修になっていた。見込みは約10時間。取材時点で40時間を超え、原稿の末尾には「70時間やば……」という発言も残る。途中で翔平は「もっと普通に、管理するところだけ作ればよかったんじゃない?」と立ち止まった。
11月1日には、安全確認に寄りすぎたと途中で気づいて止め、仕事が約一週間止まったと振り返った。完了までの実測時間と、二つの記録が同じ作業のどこまでを指すかは不明。
試すなら 次の確認作業を足す前に「これで、いま何ができるようになる?」と聞く。明日の本業が止まるなら、先に使う小さな部分を一つ決める。
09自分のHPも、お店のマイページも、使ってから直せる
10月31日から11月1日に、翔平は、自分の理想に合うホームページと、お客さん用のマイページを作れたと話した。見た目も使い勝手も、実物が手元にあれば自分で味見ができる。しかも、お客さんの使い方を見たあとで、最初に考えた理想そのものを変えられる。
マイページでは、お店に来た営業の話をあとから見返し、気になる話題を選んで相談できる。目の前の接客を終えてから、電話の内容を一から説明し直さずに続きを聞ける。お店のマイページの使い方
試すなら 一人のお客さんが使う場面を決め、その人にしてほしい操作を自分で一度やってみる。どこで手が止まったかをAIに伝える。
遠回りしたときのこと
時期不詳 A全工程を通らせたら、次の仕事ができなくなった
自分でAIの間を往復してうまくいったので、返事をする前に同じ道を毎回全部通るようにした。翔平の記憶では「4ボタンぐらいでトークン全消費」。5時間分の利用枠が約1分で尽き、仕事を続けられなくなったという。11月1日に振り返った体験で、事故の日や利用明細は未確認。
試すなら ふだんの短い仕事を一つ選ぶ。答えが使えるか一度確かめてから、別のAIや追加の確認が本当に要るかを決める。
時期不詳 B一週間かけて作った請求書の仕組みが、もう無料であった
請求書を作る手間を減らそうと、一週間ほどかけて仕組みを作った。完成して、人に案内しようとしたところで、同じようなサービスがすでに無料であると気づいた。8月11日の取材で語った話。作った日は分からない。
試すなら 作りたいものを一行で書き、今ある道具で一件だけ済ませてみる。自分の仕事でどうしても足りないところが見えれば、そこから作れる。
時期不詳 C大きな木を植え替えるのに、約500時間
理念や商売のやり方を一年ほどためてから、新しいAI環境へ移そうとした。8月11日のインタビューで、翔平はその移植に約500時間かかったと語った。「今なら、もっと小さな仕事から始めます」。飲食店なら、新メニューを一品考えるところから始めれば、その仕事に必要な食材、仕込み、お店の考え方が少しずつそろう。
試すなら 会社を丸ごとAIに説明する前に、今日終えたい仕事を一つ渡す。返事を見て初めて足りないと分かった事情を、次に足す。
あなたの仕事で試す
この全文と一緒に、自分のAIに「昨日の私の仕事は__。似た経験を一つ選び、翔平さんのときと何が同じで、何が違うか教えて。私が欲しい結果を一つ聞いて、今ある道具で試せるところまで手伝って」と渡してみてください。自分がどこで「これだ」と感じたかも、一緒に覚えてもらえます。
何を任せていいか迷ったら、昨日説明し直した仕事を一つ、翔平に聞かせてください。相談は無料です。環境をつなぐ、仕組みやページを作るなど、実作業を任せたい場合は「AIお手伝いさん」として範囲と費用を相談してお引き受けします。無料で相談する
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